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リシンの双性イオン

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 .2 .3 .4 | 投稿日時 2016/10/13 14:56 | 最終変更
ゲスト    投稿数: 0
高校の化学の授業を受けて疑問ができたので是非皆さんの意見をお聞きしたく投稿させて頂きました。
リシンの双性イオンはα位ではなくε位のアミノ基が電離している理由なのですが、僕が考えたのは、
『ε位のアミノ基と隣のアルキレン基で超共役が起こりε位のアミノ基はより負の電荷を帯びる。しかし、α位のアミノ基は-coo-(-cooマイナス)基の電子吸引性でより正の電荷を帯びやすくなり相対的に見てε位のアミノ基の方が電離する。』
というものなのですが、-coo-(-cooマイナス)基が電子吸引性か電子供与性かどちらなのかで迷っています。-COOH基は電子吸引性なで、電子1つでは変わらない気がしますし、塾の先生方はこの考えは自然だと仰って下さいますが、学校の先生や化学の新研究では-coo-(-cooマイナス)基は電子供与性だから違うと言います。どちらが正しいのでしょうか。もし僕の考えが間違っているのならリシンの双性イオンがこの構造をとる理由を教えて頂けると幸いです。
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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2016/10/17 15:38
公孫硫 
Yusuke 様

お訊ねの質問の前提として

> リシンの双性イオンはα位ではなくε位のアミノ基が電離している

ということですが、これはどこかに書いてあることなのでしょうか? それが「事実」として書かれているのであれば、その資料には問題があるように思います。というのは、我々がリシンの「双性イオン」を観測した時に、どちらのアンモニウム塩がプロトン化されているかを決定する方法が無いからです。結晶中ではちょっと特殊な測定をすればわからないではないですがかなり怪しく、溶液中では決定することはできません。後に述べる実験事実によってε位であると「推測」されるのですが、それは決定(直接観測)ではありません。

まず、リシンのpKaを見ていきましょう。ナカライテスクのHP
http://www.nacalai.co.jp/information/trivia2/11.html
によると、pK1=2.16、pK2=9.06、pK3=10.54だそうです。pK1はカルボキシ基の電離によるもので、pK2とpK3がアミノ基のプロトン化によるものですから、リシンはpH 2.16から9.06の範囲では「三性イオン」(つまり、アミノ基はどちらもプロトン化されている)となっており、リシンが「双性イオン」として存在するのはpH 9.06から10.54の範囲だけ、ということになります。

Yusukeさんのお持ちの資料には「アミノ酸は水中では双性イオンとして存在する」といったようなことが書いてあるとお見受けしますが、それをリシンに無条件に適用できるわけではありません。リシンが双性イオンとして存在する狭いpH領域のことを議論するのもどうかと思いますが、このpH領域でどちらのアミノ基が優先してプロトン化を受けるかを考えてみましょう。

まず、

>-COOH基は電子吸引性な(の)で、電子1つでは変わらない気がします

は、そんなことはありません。電子求引性(吸引にあらず)は、電子という負電荷を引き込む性質ですから、負電荷を帯びた置換基が電子を求引することはありません。かといって、電子供与性かと言われれば微妙です。カルボキシラートが電子供与性を示したような実験事実を探すのは難しい、ということです。電子供与性か電子吸引性かは実験事実によって決まるのであり、理論的に決まるものではありません。

つまり、-COOH側の性質をいくら考えても、α位とε位とどちらのアミノ基の塩基性が高いかを「決める」ことはできません。それで、α位とε位のアミノ基の化学的性質を比べます。今、リシンをアルカリ水溶液に溶かし(pH > 10.54として両方のアミノ基をフリーにして)、酸クロリドと反応させます。すると、ε位のアミノ基が優先的にアミドとなります。この実験事実は、ε位のアミノ基の方が反応性(求核性)が高いことを意味しています。求核性と塩基性は厳密には違うのですが、同じアミノ基なので同じ順番だと考えることができ、この実験事実からε位のアミノ基の方が先にプロトン化されるものだと推測されています。

つまり、pH > 10.54のリシンの水溶液に酸を加えていくと、まずε位のアミノ基がプロトン化され(まずε位のアミノ基がアミド化されたように)、双性イオンが生成するものと考えることができます。

それはなぜかと問われれば、もちろんカルボキシラート基のために決まっており、とすると、カルボキシラート基が電子求引性基として働いたんでしょうかねえ、ということになるわけです。負電荷を帯びた置換基なのにねえ、不思議ですねえ、というわけですが、α位のアミノ基の方が塩基性が高いという実験事実が無い以上、理論的にどうのと言ってもしょうがないのです。

 公孫硫
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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2016/10/22 16:02
ゲスト    投稿数: 0
つまり、この場合ではカルボキシレート基は電子求引性であるが、一般的にカルボキシレート基が電子求引性であるとは言えないということですか?
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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2016/10/30 15:44
MasaTaka 
MasaTakaと言います。

高校化学の範囲を超えますが、質問をさせて下さい。

>ε位のアミノ基と隣のアルキレン基で超共役が起こりε位のアミノ基はより
>負の電荷を帯びる。

とありますが、リシンに於ける超共役に対して、軌道計算(理論計算)が、行われているのでしょうか?
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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2016/11/6 14:19
MasaTaka 
MasaTakaと言います。

>つまり、この場合ではカルボキシレート基は電子求引性であるが、一般的にカルボキシ
>ラート基が電子求引性であるとは言えないということですか?

すなわち、カルボキシラートの電子求(吸)引性、或は、供与性だけでは、リシンの三つのpK値を矛盾なく説明できず、もう一つ別の因子が、pKの値に関与しているのではないかと考えられませんか?(この因子は、高校化学の範囲を越えますが)。
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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2016/11/11 20:20
公孫硫  スタッフ   投稿数: 13
まあ、そういうことですね。

電子供与性基(I効果)がつけば塩基性(求核性)が上昇する、と単純にはいかない場合もある(のだろう)、としかお答えできません。最初に書いたように、ε位のアミノ基(だけ)がプロトン化されるなどといった証拠はないと思いますので。

超共役というのは、よく分からないものをそれらしく説明(強弁)するために便宜的に(あるいは誤魔化し的に)使われる場合もありますので、理論計算とかそういう問題でもないと思います。歯切れが悪くて申し訳ありません。事実が分からないものを説明せよ、と言われても、という感じです。
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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2016/11/15 14:02
MasaTaka 
>超共役というのは、よく分からないものをそれらしく説明(強弁)するために便宜的に
>(あるいは誤魔化し的に)使われる場合も、

ではないかと推測し、Yusukeさんからの投稿を期待しました。それに、Yusukeさんが、超共役という考えに如何に出会った(参考書 或は 周囲の方々?)かも知りたいところでした。何はともあれ、Yusukeさんが、今後、進んだ化学を学び、現在の知識を修正する様になることを期待します。
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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 .2 | 投稿日時 2016/12/7 12:32
ゲスト    投稿数: 0
アルキル基がある場合超共役は基本的に成り立つものではないのでしょうか?
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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2016/12/7 20:49
ゲスト 
Yusuke 様

アルキル基の効果は「電子供与性」です。超共役は「なぜアルキル基は電子供与性なのか」という問に対する標準的な説明の方法です。成り立つとか成り立たないとかいうことではありません。

私は一般的な共役という考え方と同様に超共役という考え方の有効性を認めないものではありませんが、多分にご都合主義的な考え方だと思っています。共役という概念ですらご都合主義的な側面があるので、ましてや超共役については、ということです。便利ですけれどね。

ベンゼン環にアルキル基が付いた時の反応性の変化とか、カチオンやラジカルの安定化に対する効果とか、超共役(とその結果である電子供与性)で説明できる現象もあります。しかし、どのような場合でもアルキル基の効果が超共役だけで説明できるわけではありません。特にアミンの塩基性に対するアルキル基の置換基効果は複雑です。例えば

アミン   pKa
NH3   9.25
MeNH2  10.62
Me2NH  10.77
Me3N  9.80

です。最初はメチル基の電子供与性で説明できますが、置換数が多くなるとメチル基の疎水性が効いてくるからであるとされています。本当かどうかは誰も知りません。

そういうわけですから、未知の系に対して、アルキル基が付けば塩基性が上がると単純に結論できないのです。

 公孫硫
投票数:0 平均点:0.00
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2016/12/16 14:36
MasaTaka 
Yusukeさん、

残念ながら、超共役は、広く認められた一般法則では無く、むしろ、例外を説明する時に、持ち出される説と、僕は、理解しています。研究者からの異論のない(或は、少ない)例を挙げれば、トルエンの反応性に付いてです。

ところで、そもそも、何故、「超」が、付されているのでしょうか? それは、本来性質の異なるπ電子(ベンゼン環)とσ電子(メチル基)とが、混じり合っている(共役)とも解釈出来るからの様です。この様に、例外的で珍しいからこそ、超を付けて呼んでいるのでしょう。

何はともあれ、超共役だけで、アミノ酸の解離定数を説明することには、無理があります、繰り返しになりますが。

更に、付言すれば、酸の解離定数は、化学熱力学(例のエントロピーです)に基づいた理論に依って説明されるのが、一般的だと、思います。
                                    MasaTaka
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