タンパク質とNaOHの反応機構
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タンパク質とNaOHの反応機構 (ゲスト, 2016/8/27 18:49)
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Re: タンパク質とNaOHの反応機構 (公孫硫, 2016/8/29 19:27)
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Re: タンパク質とNaOHの反応機構 (ゲスト, 2016/8/29 20:15)
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Re: タンパク質とNaOHの反応機構 (公孫硫, 2016/9/1 10:27)
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Re: タンパク質とNaOHの反応機構 (Yusuke, 2016/9/1 14:11)
タンパク質とNaOHの反応機構
msg# 1
ゲスト
投稿数: 0
今有機を勉強中の高校3年生です。タンパク質に水酸化ナトリウムを加えるとアンモニアが発生すると高校の化学の教科書に書かれていたのですが、どこを調べても反応機構が書かれていなかったので、こちらに質問させて頂きました。どなたか詳しい方説明お願いできませんか?
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Re: タンパク質とNaOHの反応機構
msg# 1.1
公孫硫
Yusuke 様
タンパク質に水酸化ナトリウム(水溶液)を加えただけではアンモニアは発生しないのではないかと思います。加熱が必要でしょう。また、一般的には、ポリペプチド鎖が加水分解されてアンモニアが出るのではなく、アミノ酸の側鎖が加水分解されるのだと思います。タンパク質(アミノ酸)が消化されていく過程でアンモニアが発生しますが(人間はそれを尿素として排出している)、その反応は水酸化ナトリウムと加熱しただけでは起こりません。
さて、水酸化ナトリウムを加えてアンモニアを発生するアミノ酸としては、グルタミンとアスパラギンがまず第一に浮かびます。いずれも側鎖がアミドなので、強塩基性条件で加水分解されてアンモニアが生じます。
アルギニンの側鎖のグアニジン基(-NH-C(=NH)-NH2)は加水分解されると、アンモニアと二酸化炭素になります。
その他にもアンモニアが発生する可能性のある反応を考えることはできますが、ちょっと無理があるので、まずは上記の3つではないでしょうかね。
公孫硫
タンパク質に水酸化ナトリウム(水溶液)を加えただけではアンモニアは発生しないのではないかと思います。加熱が必要でしょう。また、一般的には、ポリペプチド鎖が加水分解されてアンモニアが出るのではなく、アミノ酸の側鎖が加水分解されるのだと思います。タンパク質(アミノ酸)が消化されていく過程でアンモニアが発生しますが(人間はそれを尿素として排出している)、その反応は水酸化ナトリウムと加熱しただけでは起こりません。
さて、水酸化ナトリウムを加えてアンモニアを発生するアミノ酸としては、グルタミンとアスパラギンがまず第一に浮かびます。いずれも側鎖がアミドなので、強塩基性条件で加水分解されてアンモニアが生じます。
アルギニンの側鎖のグアニジン基(-NH-C(=NH)-NH2)は加水分解されると、アンモニアと二酸化炭素になります。
その他にもアンモニアが発生する可能性のある反応を考えることはできますが、ちょっと無理があるので、まずは上記の3つではないでしょうかね。
公孫硫
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Re: タンパク質とNaOHの反応機構
msg# 1.2
ゲスト
投稿数: 0
公孫硫さんありがとうございます。
確かに加熱が必要と書いてありました。書き損じて大変申し訳ありませんでした。
公孫硫さんの理論によりますと、タンパク質には必ずアスパラギンかグルタミンかアルギニンのいずれかが含まれているということになるのでしょうか? それとも、高校の化学の教科書がタンパク質なら必ずアンモニアが発生すると言い過ぎているだけなのでしょうか?
ケルダール法の原理とこの反応は一致するのでしょうか?
説明お願いいたします。
確かに加熱が必要と書いてありました。書き損じて大変申し訳ありませんでした。
公孫硫さんの理論によりますと、タンパク質には必ずアスパラギンかグルタミンかアルギニンのいずれかが含まれているということになるのでしょうか? それとも、高校の化学の教科書がタンパク質なら必ずアンモニアが発生すると言い過ぎているだけなのでしょうか?
ケルダール法の原理とこの反応は一致するのでしょうか?
説明お願いいたします。
投票数:5
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Re: タンパク質とNaOHの反応機構
msg# 1.3
公孫硫
Yusuke 様
遅くなりました。アスパラギンやグルタミンはよく見られるアミノ酸ですから、たんぱく質にはまず含まれると考えていいと思います。アルギニンはそれに比べてまれですが、1個や2個は入っているのが普通です。
たんぱく質の定性反応でキサントプロテイン反応というものがあります。キサントというのは「黄色」という意味でプロテインはたんぱく質ですから、「たんぱく質が黄色くなる反応」という意味です。これは、たんぱく質に濃硝酸を作用させると黄色くなることでたんぱく質を検出する、という反応です。
手に硝酸を付けると黄色くなる、アレです。
キサントプロテイン反応はチロシンやトリプトファンのような電子密度の高い芳香環を持つアミノ酸で、芳香環が濃硝酸でニトロ化されると黄色くなることを利用しています。つまり、チロシンやトリプトファンを持たないと、たんぱく質でもキサントプロテイン反応は起きません。トリプトファンはアルギニンと同じくらいまれな(含有率の低い)アミノ酸ですが、チロシンはアスパラギンやグルタミンと同じようによく見られるアミノ酸ですので、たんぱく質にはまず含まれています。ですから、キサントプロテイン反応はたんぱく質の検出として使われるわけです。
ですから、たんぱく質の検出法としてキサントプロテイン反応が確実であるのと同じ程度の確実さで、タンパク質をアルカリ加水分解するとアンモニアが発生するでしょう。
ケルダール法は、熱濃硫酸でタンパク質を酸化して(燃やして)しまう方法です。その時、たんぱく質に含まれる窒素は全てアンモニアになりますので、それを定量します。水酸化ナトリウムによる方法とは全く違う反応です。ケルダール法では主鎖に含まれる窒素も含めて全てアンモニアに変換されますので、たんぱく質に含まれる全窒素を定量することができます。
念のために書いておきますが、タンパク質(アミノ酸)の代謝で(形式的に)アンモニアが生成する反応は、ビタミンB6を補酵素として酵素の働きによって起こる、さらに全く別の反応です。
生成物としてアンモニアが共通に発生するからといって、その反応まで同じというわけではありません。
公孫硫
遅くなりました。アスパラギンやグルタミンはよく見られるアミノ酸ですから、たんぱく質にはまず含まれると考えていいと思います。アルギニンはそれに比べてまれですが、1個や2個は入っているのが普通です。
たんぱく質の定性反応でキサントプロテイン反応というものがあります。キサントというのは「黄色」という意味でプロテインはたんぱく質ですから、「たんぱく質が黄色くなる反応」という意味です。これは、たんぱく質に濃硝酸を作用させると黄色くなることでたんぱく質を検出する、という反応です。
手に硝酸を付けると黄色くなる、アレです。
キサントプロテイン反応はチロシンやトリプトファンのような電子密度の高い芳香環を持つアミノ酸で、芳香環が濃硝酸でニトロ化されると黄色くなることを利用しています。つまり、チロシンやトリプトファンを持たないと、たんぱく質でもキサントプロテイン反応は起きません。トリプトファンはアルギニンと同じくらいまれな(含有率の低い)アミノ酸ですが、チロシンはアスパラギンやグルタミンと同じようによく見られるアミノ酸ですので、たんぱく質にはまず含まれています。ですから、キサントプロテイン反応はたんぱく質の検出として使われるわけです。
ですから、たんぱく質の検出法としてキサントプロテイン反応が確実であるのと同じ程度の確実さで、タンパク質をアルカリ加水分解するとアンモニアが発生するでしょう。
ケルダール法は、熱濃硫酸でタンパク質を酸化して(燃やして)しまう方法です。その時、たんぱく質に含まれる窒素は全てアンモニアになりますので、それを定量します。水酸化ナトリウムによる方法とは全く違う反応です。ケルダール法では主鎖に含まれる窒素も含めて全てアンモニアに変換されますので、たんぱく質に含まれる全窒素を定量することができます。
念のために書いておきますが、タンパク質(アミノ酸)の代謝で(形式的に)アンモニアが生成する反応は、ビタミンB6を補酵素として酵素の働きによって起こる、さらに全く別の反応です。
生成物としてアンモニアが共通に発生するからといって、その反応まで同じというわけではありません。
公孫硫
投票数:7
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Re: タンパク質とNaOHの反応機構
msg# 1.3.1
Yusuke
公孫硫 様
大変丁寧な解説ありがとうございました。公孫硫さんの説明でようやく納得することができました。本当にありがとうございます。また今度質問させて頂くかもしれませんが、その時もよろしくお願いします。
大変丁寧な解説ありがとうございました。公孫硫さんの説明でようやく納得することができました。本当にありがとうございます。また今度質問させて頂くかもしれませんが、その時もよろしくお願いします。
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