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(7133) 油脂の構成脂肪酸の割合って・・
パオ
2004/10/04(月) 18:42

 初めまして。高2 です。
油脂のところなのですが、教科書のヤシ油の構成脂肪酸には
 ラウリン酸 40〜50%
 ミリスチン酸 15〜20%・・
含まれる、などとありますけども、これって、
ラウリン酸だけから構成される油脂が40〜50%、ってことか、
ラウリン酸の一部分、つまりR-COO-が、パーム油全体として
40〜50%含まれるってことなのか、悩んでます。
どっちなんでしょうか?




(7134) (Re:7133)
Re:油脂の構成脂肪酸の割合って・・
M&M
2004/10/04(月) 19:58

パオさん、こんにちは。

>油脂のところなのですが、教科書のヤシ油の構成脂肪酸には
> ラウリン酸 40〜50%
> ミリスチン酸 15〜20%・・
>含まれる、などとありますけども、これって、
>ラウリン酸だけから構成される油脂が40〜50%、ってことか、
>ラウリン酸の一部分、つまりR-COO-が、パーム油全体として
>40〜50%含まれるってことなのか、悩んでます。
>どっちなんでしょうか?

 油脂というのは高級脂肪酸のグリセリン(グリセロール)エステルです。

   R−CO−O−CH2
          |
   R'−CO−O−CH
          |
  R''−CO−O−CH2

という構造であることはよく知っていますね。質問はR、R'、R'' が同じである(例えばラウリン酸では炭素数11のアルキル基)ものが 40〜50% 含まれているということなのか、やし油全体として 40〜50% 含まれているのかということですね。答えは 後者 です。

 天然の油脂でR、R'、R''が同じであるようなものは存在しません。油脂の脂肪酸構成は、油脂を加水分解し、適当な方法で脂肪酸の分析をして決定されます。したがって、その油脂全体についての脂肪酸構成しかわかりません。

 なお、やし油とパーム油は別物です。やし油はココヤシの核を乾燥したコプラから採油されるものです。パーム油はアブラヤシの果肉から得られる油脂です。主要脂肪酸組成はパルミチン酸(32〜45%)とオレイン酸(38〜52%)です。
同じアブラヤシの果実中の核から得られるパーム核油は主要構成脂肪酸がやし油と非常によく似ています。



(7140) (Re:7134)
ありがとうございます。
パオ
2004/10/05(火) 15:48


> 天然の油脂でR、R'、R''が同じであるようなものは存在しません。油脂の脂肪酸構成は、油脂を加水分解し、適当な方法で脂肪酸の分析をして決定されます。したがって、その油脂全体についての脂肪酸構成しかわかりません。

なるほど、そういうものなのですか。
ありがとうございます。パーム油のお話も。
 油脂って、何かいい加減ぽく感じちゃうんですけど、奥深いんですね。





(7190) (Re:7134)
Re2:油脂の構成脂肪酸の割合って・・

2004/10/10(日) 02:51

横からすみません。雲と申します。

>天然の油脂でR、R'、R''が同じであるようなものは存在しません。

天然に存在しないというのが興味深いのですが、これは動植物中では生成され得ないという意味でしょうか?


(7222) (Re:7190)
Re3:油脂の構成脂肪酸の割合って・・
M&M
2004/10/11(月) 22:37

雲 さん、こんにちは。お返事が遅くなり申し訳ありません。

M&M#7134
>>天然の油脂でR、R'、R''が同じであるようなものは存在しません。
雲さん#7190
>天然に存在しないというのが興味深いのですが、これは動植物中では生成
>され得ないという意味でしょうか?

実は「天然の油脂でR、R'、R''が同じであるようなものは存在しません。」というのは正確には誤りです。R、R'、R''が同じであるような分子種を含む油脂は天然にも存在します。例えば 木ろう という油脂(「ろう」という名がついていますが、化学的には油脂です。)があります。ハゼの果皮から採れる油脂ですが、木ろうはトリグリセリドの三つの脂肪酸がすべてパルミチン酸である分子種が大部分を占めています。しかし、これはかなり例外的です。
 しかし、他の油脂でも、そのような分子種は多少とも含まれています。まず確率的には存在するはずです。雲さんのご質問は、そのような意味で、「M&Mの発言はおかしい」というご批判も含まれていると理解しました。ご指摘ありがとうございます。

 ある動植物油の脂肪酸組成は、油脂というものが本質的に「混合物」であることからして、特定の分子種、とりわけトリグリセリドの脂肪酸が同一であるものの割合が高いのは稀です。いま、二つの脂肪酸SとOだけが含まれるトリグリセリドを考えたとしても、可能な分子種は下の図のように6種類になります。

   _S   _S   _S   _O   _O   _O
  |    |    |    |    |    |
   ―S   ―S   ―O   ―S   ―O   ―O
  |    |    |    |    |    |
    ̄S    ̄O    ̄S    ̄O    ̄S    ̄O

 もし3種類の脂肪酸から構成されていれば、分子種は18種類もあります。
2種類の場合でも、SSSあるいはOOOの組み合わせの確率は1/6です。生体で油脂が合成される場合、グリセリンの1、2、3位への脂肪酸の分布は上のように確率だけではきまりません。決してランダムではありませんが、ある特定の分子種だけができるわけでもないことが知られています。さらに木ろうのような例外的なものも存在するわけです。なぜ?と聞かれても私には答えることができません。そこが面白いところですね。



(7241) (Re:7222)
Re4:油脂の構成脂肪酸の割合って・・

2004/10/12(火) 20:17

M&Mさん、こんばんは。

生体内のことなので特殊な原則があるのかなと思いましたが、木ろうは例外として、確率的にはどの油脂にも存在する可能性があるのですね。生成機構の未解明の部分は面白くもあり、歯がゆくもありますね。ご説明をありがとうございました。


(7244) (Re:7241)
Re5:油脂の構成脂肪酸の割合って・・
M&M
2004/10/12(火) 22:38

雲さん、こんばんは。

>生体内のことなので特殊な原則があるのかなと思いましたが、木ろうは
>例外として、確率的にはどの油脂にも存在する可能性があるのですね。

 植物油脂のトリグリセリドの脂肪酸の配列については、一つだけルールらしいものがあって、もし飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を含むなら、一般に1位と3位に飽和脂肪酸、2位に不飽和脂肪酸が結合する というものです。その点においては、確率だけで決まるランダム配列ではないわけです。

 また、木ろうのようにある脂肪酸(パルミチン酸)が全体の77%も含まれるような場合は、当然PPPの配列の分子種の割合が確率的にも高くなりますね。
(P:パルミチン酸)

 しかし、基本的には、脂肪酸3個が同じ単酸基トリグリセリドよりは、異なる場合の混酸基トリグリセリドが多いことになります。





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