化学の広場ホームページ>過去の話題>理科>リモートセンシング


(3729) リモートセンシング
桑嶋幹
2004/02/19(木) 21:23

桑嶋です。

いつもは質問に答えることがほとんどですが、今日は話題提供で。

深海水草さんが#3704で、地球から火星を観察する方法を述べられて
いました。今、火星には探査機が送られて、火星の様子が写真で送ら
れてきていますが、深海水草さんがおっしゃるような観察の方法もま
だまだ行われています。実はこういった方法は宇宙から地球を観察す
るのによく使われており、リモートセンシングといいます。

下記は私が「光と色の100不思議」(東京書籍)で執筆した原稿で
す。興味のある人は読んでみてください。この本にはイルカさんも執
筆されています。

●宇宙から光で地球を観測する−リモートセンシング

 地球の周りにはたくさんの人工衛星が回っています。それらの人工
衛星の中には宇宙から地球の状態を観測するために打ち上げられたも
のも少なくありません。例えば、天気予報でお馴染みの気象衛星ひま
わりは読者の皆さんもご存知だと思いますが、その他にも地球観測衛
星(ランドサット)や地球資源衛星などを始めとする多くの人工衛星
が宇宙空間での地球観測に活躍しています。これらの人工衛星はいろ
いろな種類の電磁波(光や電波)を利用して地球規模での様々なデー
タを収集していますが、それらのデータを使って大規模な地球の観測
が行われています。これをリモートセンシングといいます。リモート
は「遠くに離れて」「遠隔の」、センシングは「感知すること」とい
う意味です。感知機のことをセンサといいます。リモートセンシング
は気象の観測、海洋の観測、地質の調査、植物の分布状態、環境の観
測などさまざまな目的に利用されています。
 リモートセンシングには(1)地球の陸地や海、大気などから放射した
り反射する可視光線・赤外線・電波などを観測する方法と、(2)人工衛
星から電磁波を発してその反射波を観測する方法があります。(1)の方
法では光学センサという感知機が使われます。光学センサは簡単に説
明すると人間の目やカメラと同じ構造と機能をもつセンサで、地球か
ら発せられる光を色や形として観測します。人間の目は可視光線しか
とらえることができませんが、この光学センサは人間の目では見えな
い赤外線などの光を感知することができます。そのため、土地の利用
状況、水資源の状況、地表や海面の温度、鉱物資源や植物の分布状況
などのたくさんの情報を得ることができます。(2)の方法ではマイクロ
波(電波)を利用したレーダがセンサとして使われます。人工衛星が
地球を回りながらマイクロ波を発し地球にあたって反射するマイクロ
波を観測します。この方法は主に地形を調べるのに威力を発し資源探
査や地球環境の監視に活躍しています。またマイクロ波の特性から天
候に左右されず、夜間でも観測が可能であることから、(1)の光学セン
サでは得られない情報を取得することが可能です。さらに(1)と(2)の
センサを併用し、どちらかのセンサだけでは判断できない観測への対
応も進められています。
 人類は今日まで快適な生活を営むため様々な技術開発をしてきまし
たが、残念ながら同時に深刻な環境汚染や自然破壊を引き起こしまし
た。例えば石油などの化石燃料を発電や自動車へ利用することにより
大気中にたくさんの二酸化炭素を放出し地球温暖化を引き起こしてる
と言われています。さらにオゾン層の破壊や酸性雨など深刻な環境問
題にも直面しています。例えば、地球温暖化への有効な対策を考える
には大気中の原因物質の調査が必要となりますが、これには赤外線を
利用した温室効果気体センサを装備した人工衛星が活躍しています。
地球観測衛星は全世界的な規模でかつ二十四時間休みなく地球を監視
しているのです。





Copyright© 2005 FCHEM All rights reserved.