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(2851) イオン化傾向に関してです

2003/12/17(水) 22:19

高3の虹です。(次から次に質問ばかりしてすみません)

硫酸銅(U)水溶液の銅版を各電極に用いての電気分解についてなのですが、陽極だけは「亜鉛」「銀」の不純物を含んでいるとき
水溶液の濃度が小さくなり、陽極版の下に沈殿が生じるとあったのですが、このことに関して疑問があります。

濃度の低下についてはZn→Zn2++2e-も起こることから理解できたのですがAg→Ag++e-の反応が起こらないのに沈殿が生じるということがいまいち理解できないのです。

普通に銀を極板に用いて電気分解を行っても沈殿は生じませんよね?
金属の精錬という部分を調べたのですが
イオン化傾向の小さい金属の化合物は加熱するだけで容易に還元され金属の単体が得られる。と書いていました。
銀の沈殿が生じた電気分解では熱の発生があったのでしょうか?
また、還元によって金属の単体が得られるということは
Ag++e-→Ag という反応が起こるのでしょうか?
↑不純物として含まれているためこのような反応は起こりませんよね?
どうかよろしくお願いします。。


(2854) (Re:2851)
Re:イオン化傾向に関してです
M&M
2003/12/18(木) 11:22

虹さん、こんにちは。

>硫酸銅(U)水溶液の銅版を各電極に用いての電気分解についてなのですが、
>陽極だけは「亜鉛」「銀」の不純物を含んでいるとき水溶液の濃度が小さ
>くなり、陽極版の下に沈殿が生じるとあったのですが、このことに関して
>疑問があります。


これは工業的には 銅の電解精錬 として知られている電気分解ですね。
普通は硫酸酸性の硫酸銅水溶液を用います。この電解で陽極の下にアノード泥(または陽極スライム)とよばれる沈殿がたまります。この中に銀、金、白金などの貴金属が含まれますので、これら貴金属の回収が行われています(日本ではこれらの貴金属の生産は、この回収に大きく依存しています)。

 粗銅を陽極に用い、純銅を陰極に用いますが、粗銅に含まれれる不純物のうち、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルトなどの銅よりイオンか傾向が大きい金属はイオンとなって溶けます。これは電流を通じなくとも起こる現象で、亜鉛などが溶けるかわりに、粗銅の表面に銅が析出します。局部電池ができると言えます。
 電流を通じると、粗銅の銅も溶けます。一方、陰極では硫酸銅水溶液中の銅イオンが電子を受け取って、銅が析出しますが、亜鉛などのイオンは電子を受け取ることなく、溶液中に残ります。

 陽極の粗銅中に含まれている銀、金などは虹さんの考えている通り、イオンになりませんから、そのまま沈殿する わけです。得られたスライムは適当な処理をされて(銀、金、白金など以外のPb、Bi、Se、Te などを除きます)、銀、金などは、また電解精錬で精製することになります。

 例えば銀の場合、硝酸酸性の硝酸銀水溶液を電解液として、粗銀を陽極とし、純銀を陰極として電解精錬をします。

 不純物の鉛は銅よりイオンか傾向が大きいので、鉛イオンとしていったん溶けますが、すぐに溶液中の硫酸イオンと結合して不溶性の硫酸鉛になりますから、陽極スライムに含まれることになります。

 虹さんの質問内容以外の余分なことまで述べてしまいましたが、電解精錬 の原理と、銀が単体として沈殿する理由は理解できましたでしょうか?



(2856) (Re:2851)
Re: イオン化傾向に関してです
ごろにゃん!
2003/12/18(木) 17:38

虹さん、こんにちは。

銀が沈殿するという考え方はM&Mさんの考え方でほぼ間違いありません。高校生ですから、これ以上は知らなくても良いと思いますが、ちょっとだけ補足を。

電解精製の際の陽極に使われている粗銅の中の銀はどのような形で存在しているのでしょうか。

量が少なすぎて、分析が難しいため説の領域を出ないのですが、一般的には固溶体といいまして銅の中に均一に分散しているとされています。

そして、この銀を含む粗銅が溶解する際、銀の一部もイオン化する可能性があるのです。ただし、陽極近傍での銀イオンは極めて不安定で、近くにある金属銅と置換反応を起こして金属の銀に戻ってしまいます。

銀を含む銅を電解精製で使用する液体中で電気分解を行なうと、非常に微細な粉末が表面に残ります(これ私の学生時代の研究テーマに近く、似たような実験をやってました)。この粉末は銀の塊がそのまま残ったとは言い難いくらい細かいもので、いったんイオン化して置換反応で金属銀に戻るというのはあながち間違っていないと思われます。

また、電解精製に用いる溶液には、塩酸が添加されていることが多いのですが、塩酸に起因する塩化物イオンと反応し、塩化銀として沈殿する場合もあるようです。塩化銀が生成するためにも、いったんイオン化する必要がありますね。

銀は電解精製で回収しなければならない重要な副産物です。しかし、陽極の銀含有量が多くなりすぎると、溶け残った銀の影響により不動態化(陽極が溶けなくなる)が起こりやすくなります。もっとも、陽極の不働態化に影響を与えるのは、銀だけではなく、不溶性の沈殿物を生じる全ての不純物が関係しています。

ごろにゃん!/浅原 肇(hajime.asahara@nifty.com)
神奈川県藤沢市 最寄り駅 湘南台(小田急、相鉄、地下鉄)
2003/12/18(Thu)
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