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(595) 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
ヒョウリ
2003/11/04(火) 18:27

質問なのですが、湿った物を真空ポンプや水流ポンプで減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
そして密室とベランダとでは、どちらの方が早く乾燥するのですか??
次の日着たかった洗濯物を部屋か外かどちらで干すべきか悩んだもので・・・;(我が家乾燥機なくて・・・;)
教えてください!(><)


(596) (Re:595)
Re:減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
M&M
2003/11/05(水) 11:00

ヒョウリ さん、こんにちは。

>湿った物を真空ポンプや水流ポンプで減圧するとどうして早く乾燥するの
>ですか?
>そして密室とベランダとでは、どちらの方が早く乾燥するのですか??
>次の日着たかった洗濯物を部屋か外かどちらで干すべきか悩んだもので・・・;

 ヒョウリさんがどんな方かわかりませんので、どこまでお答えしたよいのでしょうか。ひょっとしたら答えはわかっていらっしゃるのかも。

まず、水で湿ったものを乾かすということは、
(1)水分を蒸発させること。
(2)蒸発した水分(水蒸気)が再び物(繊維など)に凝縮して湿らないように   すること。
ですね。まず(1)については
(ア)温度を上げて蒸発しやすくする。
(ロ)圧力を低くして、水の沸点を下げること。
(ハ)蒸発した水蒸気を物からできるだけ遠ざけること。
などです。液体はその蒸発のしやすさの尺度になる、固有の蒸気圧というものをもっています。その蒸気圧は温度を上げると上がりますから、乾燥機はまず加熱をして、温度を上げるわけですね。天気のいい日に洗濯物を干すのも、第一に太陽熱で温度を上げるということです。温度を上げると液体の水の中で分子の運動が活発になって、液体表面から飛び出す分子が増えます。これが水蒸気圧が高くなる原因です。

 温度をどんどん上げていくと、100℃ で水は沸騰します。これは水の蒸気圧が大気圧以上になったとき表面からだけでなく、液体の内部からも蒸発が起こるようになる現象です。このときの温度100℃が水の沸点です。したがって、100℃まで温度を上げると非常に乾きやすくなるわけですが、物によってはあまり温度を上げられない場合があります。

 そのときはどうするか。その一つが(ロ)です。水の沸点は圧力を下げると下がるのです。高い山の上でご飯が炊けないのは圧力が下がるため水の沸点も下がるためですね。沸点が下がると低い温度でも水は蒸発しやすくなります。しかし圧力をさげて沸点を下げても、密閉した容器に閉じこめたままですと、やがて水蒸気の圧力(水蒸気圧)は、そのときの温度で決まるある値で一定になってしまいます。つまりそれ以上蒸発はしなくなります。このとき蒸発の速さと、水蒸気が凝縮する速さが同じになってしまうのです。

 そこで、この水蒸気を除く必要があるのです。つまり、はじめに書きましたように(2)に相当する操作が必要になります。

 真空ポンプや水流ポンプで減圧するということは、水を蒸発しやすくすることと同時に、蒸発した水蒸気を除くことでさらに蒸発を促すことになることはもうおわかりでしょう。

 次に洗濯物を密閉した室内に干すと、まず太陽の放射熱を吸収しませんから温度が上がりません。また蒸発した水蒸気が逃げませんので、室内の湿度が上がります。湿度つまり空気中の水蒸気圧が上がれば、洗濯物の上に凝縮するようになります。洗濯物はなかなか乾かないことになります。

 外に干す、特に天気の良い、風のある日に干すということが最良の自然乾燥の条件になることは誰でも経験的に知っていることですね。風のある日というのがこの場合(ハ)蒸発した水蒸気を物からできるだけ遠ざける(広い大気中へ拡散する)こと、になります。

 ここまで書いて、やはりヒョウリ さんはすべてをご存じのはずと、再び思った次第です。



(599) (Re:596)
Re3:減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
ヒョウリ
2003/11/05(水) 23:03

返答ありがとうございます!(><)

>ヒョウリさんがどんな方かわかりませんので、どこまでお答えしたら
>よいのでしょうか。ひょっとしたら答えはわかっていらっしゃるのか>も。

すいません;きちんと名乗らずいきなりの質問をしてしまって;;
本業は学生です。答えの方は本当にわからなかったので質問しました。
 
>ここまで書いて、やはりヒョウリさんはすべてをご存じのはずと、再>び思った次第です。

そう思われたのは「真空・水流ポンプ、減圧」といった表現を使ったからでしょうか;;ちょうど大学での講義とかぶったから、こういう表現になってしまっただけなので・・・。
本当に答えは知らなかったのです;;

詳しい説明、本当に感謝しています!ありがとうございました♪



(606) (Re:596)
Re2: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
高はし
2003/11/15(土) 11:36

M&Mさん、こんにちは。横から失礼します。
私は、モノが乾くってどういうことなのかがちょっとわからなくなっている40過ぎのオジサンです

>(ア)温度を上げて蒸発しやすくする。
>(ロ)圧力を低くして、水の沸点を下げること。
>(ハ)蒸発した水蒸気を物からできるだけ遠ざけること。

 この辺の理屈はわかっているつもりなのですが、どうも風を当てると乾きにくくなる場合があるようなのです。洗濯物ではないのですが、熱風で乾燥する場合に、むしろ風を当てないほうがいいのかな?というような場合があると。
 その場合、熱風は(ア)の熱量を与える役割と(ハ)の蒸発したものを遠ざける効果を有していると思うのですが、その寄与分みたいなものを量る理屈ってどう考えればいいのでしょう?

# 遠ざける、というのは違った言い方では分圧を下げることになるので(ロ)ともかぶる部分がありそうですね。

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高橋 伸輔(ぺるの〜)
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(607) (Re:606)
Re3: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
イルカ
2003/11/15(土) 12:02

イルカです。
 >・・・・・どうも風を当てると乾きにくくなる場合があるようなのです。
 >洗濯物ではないのですが、熱風で乾燥する場合に、むしろ風を当てない
 >ほうがいいのかな?というような場合があると。


 実際に遭遇したそのような事例を具体的に挙げていただくと良いかと思います。

                 イルカ


(609) (Re:607)
Re4: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
高はし
2003/11/15(土) 22:47

イルカさん、こんにちは。

> 実際に遭遇したそのような事例を具体的に挙げていただくと良いかと思います。

 工業的な系なので、この会議室の趣旨とは外れてしまうのかもしれないのですが、ある基材上の液体を乾燥させるのに、乾燥速度を上げようと思って風を吹かしたら、どうも基材面の温度がすぐに下がってしまうようで、かえって乾きにくかった..という経験です。

 ちょっと特殊すぎた系なのかもしれないですが・・・



(611) (Re:609)
Re5: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
イルカ
2003/11/16(日) 00:17

イルカです。
 液体をできるだけ速やかに蒸発させる場合、M&Mさんのコメントをちょっと整理すると
液体が気体になる・・蒸発させると言うことは、「液相」⇔「気体」の平衡を右にずらすと言うことですから、
(ア)(温度を上げて)蒸気圧をあげる。
(イ)気相側に含まれるその気体の分圧を下げる
のふたつですね。
 (蒸発した水蒸気を物からできるだけ遠ざけること)は、(ロ)に含まれます。

 (イ)のつもりが、(ア)を行ってしまい、結果的に気化どころか凝結に平衡を傾けてしまったり、(ア)のつもりが(イ)を行ってしまったり。
 ひとつの液体だけでも、期待とは逆のことをしてしまうことは良くあります。複数の気体が絡むと話はもっとややこしくなるのかも・・・

                 イルカ


(614) (Re:611)
Re6: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
高はし
2003/11/16(日) 13:34

イルカさん、こんにちは。

>液体が気体になる・・蒸発させると言うことは、「液相」⇔「気体」の平衡を右にずらすと言うことですから、

 「平衡をずらす」というのは、考え方のいいヒントになりそうです。
 私は機械屋だからなのか、どうも考え方が実物の動きにのみに、とらわれがちになる癖があるようです。「平衡」とか「場」とかを考えながら整理してみるとよい答えに結び付けられるかもしれません。
 ありがとうございます。



(615) (Re:614)
Re7: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
イルカ
2003/11/16(日) 15:21

イルカです。
 卑近な例でいうと、実験器具の洗浄に水を使用していて水を除くために、洗浄した器具をアセトンを洗ビンで流して、それを乾燥という方法をとります。(出身が有機なもので、水は禁忌)
 ところが、湿度が高い日にこれをすると、アセトンの気化熱で器具の表面温度が下がり、空気中の水分が表面に凝結してしまうと言う悲惨な結果に。
 
                 イルカ


(616) (Re:615)
Re8: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
イルカ
2003/11/16(日) 15:40

イルカです。
 そこで平衡移動の考え方
・液相の蒸気圧を上昇させる。
・気相の分圧を低下させる。
 乾燥に使用する風の出口にアセトンを滴下してアセトンの分圧を増やし、当該物質の分圧を下げるために、加熱気の前に乾燥器を経由すれば・・


                 イルカ


(608) (Re:606)
Re3: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
M&M
2003/11/15(土) 14:52

高橋様、、こんにちは。

>どうも風を当てると乾きにくくなる場合があるようなのです。洗濯物では
>ないのですが、熱風で乾燥する場合に、むしろ風を当てないほうがいいの
>かな?というような場合があると。

> その場合、熱風は(ア)の熱量を与える役割と(ハ)の蒸発したものを
>遠ざける効果を有していると思うのですが、その寄与分みたいなものを量
>る理屈ってどう考えればいいのでしょう?

 風があると乾くのが速いということは、洗濯物を屋外で乾かすことを想定して書いたものです。この場合、湿度が低い風で洗濯物から蒸発した水蒸気を強制的に拡散することにより、蒸発速度を高めたり、一定に保つことになります。

 しかし、もし風そのものが湿っていたら、その効果はなくなってしまいます。
熱風乾燥する場合、乾燥するモノから蒸発した水蒸気を含む(湿度が高い)熱風を循環しているだけであれば、ある程度までは速く乾燥してもそれ以上は乾燥しないことになりますし、場合によっては再びモノの上に水蒸気が凝縮して湿ることになります。減圧でなくても、湿った空気を排出すればよいわけで、洗濯物の乾燥機でもそのようになっています。乾燥物の周囲の水蒸気分圧(すなわち湿度)をたえず下げることです。

 「むしろ風を当てないほうがいいのかな?」というこは、湿った風を当てるよりはということでしょう。密閉した部屋や乾燥機で、ただ加熱しただけでは、周囲の水蒸気分圧が上がりますので、乾きにくくなると思います。

 雨の日に窓を閉めたままですと車の窓が曇りますね。それでエアコンは入れずに熱風で曇りを除こうとしても、「循環」になっているとかえって曇ることはよく経験します。あわてて「流通」に切り替えたり、エアコンを入れることになります。



(610) (Re:608)
Re4: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
高はし
2003/11/15(土) 23:12

M&Mさん、こんにちは。

> 風があると乾くのが速いということは、洗濯物を屋外で乾かすことを想定して書いたものです。この場合、湿度が低い風で洗濯物から蒸発した水蒸気を強制的に拡散することにより、蒸発速度を高めたり、一定に保つことになります。

 そうですね。蒸発する面付近の水蒸気を拡散するのに風が役立っているのはわかります。
 一方で、蒸発することで潜熱を奪いますので、洗濯物の温度が下がると思うんです。幸いにして水はその程度の温度の低下では蒸発速度はあまり変わらないのでしょうけど、風による熱の授受が蒸発速度にかかわるような系だとどう考えたらいいのかなあ...と悩んでいた次第です。

 ちょっと会議室の趣旨からは外れてしまってきたようで、申し訳ないです




(612) (Re:610)
Re5: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
M&M
2003/11/16(日) 01:27

高はしさん、こんにちは。

> 一方で、蒸発することで潜熱を奪いますので、洗濯物の温度が下がると
>思うんです。幸いにして水はその程度の温度の低下では蒸発速度はあまり
>変わらないのでしょうけど、風による熱の授受が蒸発速度にかかわるよう
>な系だとどう考えたらいいのかなあ...と悩んでいた次第です。

 これはもっともな疑問です。水の蒸発熱は大きいですから、蒸発による温度低下は当然あります。したがって、風があれば速く乾くという場合、太陽の放射熱の吸収で温度が保たれるならばという条件が付きます。冬の曇った日に、風があれば、乾くどころか逆に凍りついてしまうこともあるでしょう。

#609の
> 工業的な系なので、この会議室の趣旨とは外れてしまうのかもしれない
>のですが、ある基材上の液体を乾燥させるのに、乾燥速度を上げようと思
>って風を吹かしたら、どうも基材面の温度がすぐに下がってしまうようで、
>かえって乾きにくかった..という経験です。

 高はしさんの発言を「熱風を当ても乾きにくい場合があると」と読んでしまったのですが、熱風で蒸発熱が供給されて温度が下がらなければ、熱風を当てた方が乾きやすいはずです。しかし、風の温度が低ければ、逆に蒸発で液体の温度が下がって蒸気圧の低下を招くことは当然ありますので、加熱と併用する必要があります。それと同時に蒸気の除去も必要です。

 これは工業的な乾燥でなくても、実験室での水洗したカラス器具の乾燥でも、吸湿試料の真空乾燥でも、またロータリーエバポレータでの減圧溶媒留去の場合も経験することです。減圧下での溶媒留去の場合、湯浴で加熱していないと溶媒の温度がどんどん下がって、減圧の効果が無くなってしまい、なかなか溶媒が飛びません。



(613) (Re:612)
Re6: 減圧するとどうして早く乾燥するのですか?
高はし
2003/11/16(日) 13:34

M&Mさん、こんにちは。

> 高はしさんの発言を「熱風を当ても乾きにくい場合があると」と読んでしまったのですが、熱風で蒸発熱が供給されて温度が下がらなければ、熱風を当てた方が乾きやすいはずです。しかし、風の温度が低ければ、逆に蒸発で液体の温度が下がって蒸気圧の低下を招くことは当然ありますので、加熱と併用する必要があります。それと同時に蒸気の除去も必要です。

 ちょっと私のほうが混乱していました。
 詳しくは開示できないのですが、熱風に依存する乾燥に限界を感じていて、以外の加熱手段を併用する検討をしていたので、ごちゃ混ぜになってしまっていました。
 この場合は基材の温度が意外に高く、比較して「熱風」が蒸発のためのエネルギを供給するに十分でない系になっていたような気がします。定性的にはボンヤリと理解できて来たのですが、定量的に寄与分を考えようとすると私の理解ではどこまでを近似するかでうまく説明できていなかったりします。

> これは工業的な乾燥でなくても、実験室での水洗したカラス器具の乾燥でも、吸湿試料の真空乾燥でも、またロータリーエバポレータでの減圧溶媒留去の場合も経験することです。減圧下での溶媒留去の場合、湯浴で加熱していないと溶媒の温度がどんどん下がって、減圧の効果が無くなってしまい、なかなか溶媒が飛びません。

 なるほど、参考になります。いろんな実例を見ながら、何が起こっているのかをもう少し自分の現実系に取り込んでゆくことで整理してみたいと思います。






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