化学の広場ホームページ>過去の話題>教育>なぜ食塩水には電気が流れるのか


(118) なぜ食塩水には電気が流れるのか
木原 伸浩
2003/12/19(金) 15:37

【理科】#2860で卯月さんへの答えを書いていて判らなくなりました。教えて下さい。

なぜ食塩水には、あー、食塩水だと面倒だな、硫酸ナトリウムにしましょう。なぜ硫酸ナトリウムの水溶液は電気を流すのですか?

1.電気分解を起こさない電圧でも電気が流れる
2.水でも硫酸ナトリウム水溶液でも酸化還元に関わる化学種(水とプロトンと水酸化物イオン)の濃度は変わらないにもかかわらず、酸化還元と無関係な化学種(硫酸イオンとナトリウムイオン)の濃度が違うだけで導電率が大きく違う

私は硫酸ナトリウム水溶液で「何が電気を流しているか」が判りません。教えて下さい。

 木原 伸浩


(122) (Re:118)
Re:なぜ食塩水には電気が流れるのか
M&M
2003/12/19(金) 23:51

木原様、こんばんは。

>1.電気分解を起こさない電圧でも電気が流れる
>2.水でも硫酸ナトリウム水溶液でも酸化還元に関わる化学種(水とプロ
>トンと水酸化物イオン)の濃度は変わらないにもかかわらず、酸化還元と
>無関係な化学種(硫酸イオンとナトリウムイオン)の濃度が違うだけで導
>電率が大きく違う

 上記のことは、実験事実として述べられているようですが、電気伝導率の測定は通常、交流で高周波数で行われます。1.のことは直流でのことですか?

 その点を確認したうえでコメントしたいと思います。



(124) (Re:122)
Re2:なぜ食塩水には電気が流れるのか
木原 伸浩
2003/12/20(土) 12:49

M&M 様

> 上記のことは、実験事実として述べられているようですが、電気伝導率の測定は通常、交流で高周波数で行われます。1.のことは直流でのことですか?

食塩水が電気を流すことは、小学校で実験しました。電池と豆電球で回路を作り、回路の途中に食塩水を挟んだときには豆電球がつく、と言う実験です。

イオン濃度が上がると電導率が上がることは、測定したというか何というか、純粋製造装置には、脱塩が進むと抵抗が大きくなっていって、水道水をたすと抵抗ががくっと下がる、と言う表示がついていることから分かります。

さっきの、乾電池と豆電球の回路で、超純水を挟んだときには豆電球はつきません。ここに塩を加えていくとだんだん豆電球が明るくなります。(テレビで見た実験)

 木原 伸浩


(125) (Re:124)
Re3:なぜ食塩水には電気が流れるのか
M&M
2003/12/20(土) 16:06

木原 伸浩さん、こんにちは。

 小学生になりすました木原さんにコメントです。

>食塩水が電気を流すことは、小学校で実験しました。電池と豆電球で回路を
>作り、回路の途中に食塩水を挟んだときには豆電球がつく、と言う実験です。

>さっきの、乾電池と豆電球の回路で、超純水を挟んだときには豆電球はつきません。ここに塩を加えていくとだんだん豆電球が明るくなります。(テレビで見た実験)


 実は今日、夕方家族で食事会をすることになっていまして、街まで出かけますので、詳しいことはまた後でということにします。

 ありあわせの材料で実験をしてみました。

・電源:ナショナルの単三アルカリ電池(1.5V) 2本
・デスター:1mA、30mA、300mAフルスケール
・10% 硫酸ナトリウム水溶液(硫酸ナトリウムは特級、一応、超純水を使用)
・電極:白金電極(たまたまあった白金線を使用した。
・豆電球:2.5V、0.3Aのもの。

【確認実験】

・単三アルカリ電池1本で豆電球を点灯するときには、約200mAの電流が流れた。

【実験1】:10%硫酸ナトリウム水溶液に白金電極を浸し、電池1本(1.5V)と電流計(1mA)を接続した回路をつくり、回路を閉じて電流計の電流値を測定した。また電極表面に目に見えるような気体が発生するかどうか観察した。

【実験2】:電源を電池2本にし、電流計を30mAフルスケールにして、実験1と同様に行った。

【結果】

実験1:回路を閉じた瞬間は約 0.5mA まで電流計の針が振れたが、急速に減衰し、やがて 0.1〜0.15mAになり一定になった。

 両電極上には気泡は肉眼では、まったく観察されなかった。

実験2:回路を閉じた瞬間、約30mAまで電流計の針が振れたが、急速に減衰し、約12mA で定常電流になった。

 両電極上に気泡が発生し続けるのが観察された。

【考察】時間の関係で今夜10時以降になります。あしからず。

ということで、木原さん、みなさん、ここまでのところでコメントをお願いします。



(126) (Re:125)
電解コンデンサを想像してしまいます。
イルカ
2003/12/20(土) 17:24

イルカです。
 電解液に電流が流れる場合三つの要素があるということでしょう。
(1) 電解質が溶けたため、水の電離が起きて電解質の濃度に比例して
  キャリアが増大する
(2) 電極で酸化還元が行われるだけの電界強度があれば、酸化還元反
  応(電気分解を含む)によって電気が流れつづける。
(3) そうでなければ、両極に対電荷のイオンが集中し、分極により電荷
  の移動は中断される。
(4) しかし、電荷の交換が起きて漏れ電流は流れつづける。
  硫酸酸性になった陽電極で、H+が生成し負電極に移動する。など

 手元に、なぜかYHP(ヨコハマヒューレットパッカード)の導電率計があるのですが、確かに導電率は交流高周波となっていますね。

                      イルカ( CQK00436 )
            http://www.urban.ne.jp/home/ichiya/



(128) (Re:126)
Re5:電解コンデンサを想像してしまいます。
伊笠 摩耶
2003/12/21(日) 15:48

イルカさま。

> 手元に、なぜかYHP(ヨコハマヒューレットパッカード)の導電率計があるのですが、確かに導電率は交流高周波となっていますね。

 YHP は横河Hewlett-Packard だったと記憶にあるのですが
ちがっていますか?

伊笠 摩耶
>            http://www.urban.ne.jp/home/ichiya/





(129) (Re:128)
Re6:電解コンデンサを想像してしまいます。
桑嶋幹
2003/12/21(日) 23:22

桑嶋です。

> YHP は横河Hewlett-Packard だったと記憶にあるのですが
>ちがっていますか?

その通りです。イルカさんの勘違いだと思います。YHPは横河電気と
Hewlett-Packardで作った会社ですね。計測機器や分析機器、コンピ
ュータなどを製造販売していました。
今はコンピュータ関係はHewlett-Packard社、計測機器などはAgilent
Technology社です。



(130) (Re:126)
Re:電解コンデンサを想像してしまいます。
M&M
2003/12/22(月) 15:40

木原さん、イルカさん、みなさん、こんにちは。ここにつづけます。

 先日、アルコール試験氏はちょとビールを飲んだだけでダウンしてしまいましたし、昨日も二日酔いで頭が働かず、実験結果の「こうさつ」にまでいたりませんでした。

【こうさつ】

 木原さんは#118で
1.電気分解を起こさない電圧でも電気が流れる
と書かれましたので、直流の話かどうかを確認させていただきました。そうしましたら

食塩水が電気を流すことは、小学校で実験しました。電池と豆電球で回路を作り、回路の途中に食塩水を挟んだときには豆電球がつく、と言う実験です。

また
さっきの、乾電池と豆電球の回路で、超純水を挟んだときには豆電球はつきません。ここに塩を加えていくとだんだん豆電球が明るくなります。(テレビで見た実験)



ということですから、直流での実験ですね。電圧が明記されていませんので、なんともいえませんが、【実験1】の結果から、水の分解電圧(約1.6V)以下ではほとんど電流は流れませんでした。水の理論分解電圧は 1.23Vですから、乾電池1本(1.5V)でも電気分解がおこりそうですが、ここは過電圧とやらの関係で実際の分解電圧は1.6V以上になるそうです。硫酸ナトリウム水溶液(食塩水も同じ)でも、電圧が低いと電流は流れません。スイッチをいれた直後に流れたのはコンデンサの充電電流であると考えられます。

 当然のことですが、電極表面からの気体は発生せず、電気分解が起こっていないことになります。

したがって、木原さんがこの充電電流のことをいっておられるのでないかぎり、
1.電気分解を起こさない電圧でも電気が流れるとはいえないと思います。おそらく、その実験では分解電圧以上の電圧がかけられていたのではないでしょうか。0.1mAそこらの電流では、豆電球がつくとはありえません。この微少電流のことは後で考えることにします。【確認実験】で試したように、豆電球がつくときには200mAもの電流が流れていました。

 【実験2】では3V(電池2個)で電流を通じました。このとき「回路を閉じた瞬間、約30mAまで電流計の針が振れたが、急速に減衰し、約12mA で定常電流になった。」 また「両電極上に気泡が発生し続けるのが観察された。」ことから、電気分解がおこり、そのときは約100倍以上の電流が流れました。(12mA/0.1mA=100)

 以上のことから、結論として電解液に電流が定常的に流れるためには、電気分解が起こることが必要であり、そのためにはある電圧以上の電圧をかけなくてはならないことが分かりました。

 なお木原さんの質問2については、あらためてお答えします。ただし、電解質水溶液の電気伝導度を測定するには交流を用いる必要があることと、周波数も通常 1000Hz 以上にすることを申し添えておきます。



(131) (Re:130)
Re6:電解コンデンサを想像してしまいます。
木原 伸浩
2003/12/22(月) 17:39

M&M 様

実験していただいてありがとうございます。私もちゃんと回路を組んで、電圧と電流の関係をちゃんと求めなければならないな、と思っていたところでした。

こうしてみると、小学校で習う「食塩水は電気を流す」、中学校で習う(今では習った、か)「電解質水溶液は電気を流す」というのがいかに物事の一面しか示していないのかがよく判りました。純朴だった私は、「電解質水溶液には電気の運搬を担うイオンがあるのだから電気を流す」という説明をすっかり信じ込んでいたのでした。

>ということですから、直流での実験ですね。電圧が明記されていませんので、なんともいえませんが、

私も実験の具体的な内容は覚えていませんが、たぶん電池を二本使ったんでしょうね。豆電球による電圧効果はそれほどなくて、水溶液には電気分解に十分な電圧がかかっていたのでしょう。また、私の記憶では実験に使ったのは食塩水で、電解に必要な電圧も違っていたかも知れません。

> ...電解質水溶液の電気伝導度を測定するには交流を用いる必要があることと、周波数も通常 1000Hz 以上にすることを申し添えておきます。

しかし、脱塩が進むと電気伝導度は下がっていくわけですよね。そうすると、そこで測っている「電気」伝導度というのはいったい何なのでしょう。実際に測っているのは「イオン」伝導度なのでしょうか。

 木原 伸浩


(138) (Re:131)
Re7:電解コンデンサを想像してしまいます。
M&M
2003/12/25(木) 12:06

木原 様、こんにちは。あれこれあって、カメレスになりがちです。

>こうしてみると、小学校で習う「食塩水は電気を流す」、中学校で習う
>(今では習った、か)「電解質水溶液は電気を流す」というのがいかに
>物事の一面しか示していないのかがよく判りました。純朴だった私は、
>「電解質水溶液には電気の運搬を担うイオンがあるのだから電気を流す」
>という説明をすっかり信じ込んでいたのでした。

 木原さんが、「純朴であったかどうか」を判断する材料がありませんのでコメントはいたしません。(^_^) しかし、理科教育としては非常に大事なことだと感じています。なんとかして、正しいすがたを小学生からしみこませておく必要があると思いますので、この部屋で大いに議論しておきたいのです。

>また、私の記憶では実験に使ったのは食塩水で、電解に必要な電圧も違
>っていたかも知れません。

 食塩水なら、かなり希薄でないかぎり、理論分解電圧も「水の電気分解」より少し高くなりますので、余計に問題です。

>しかし、脱塩が進むと電気伝導度は下がっていくわけですよね。そうする
>と、そこで測っている「電気」伝導度というのはいったい何なのでしょう。
>実際に測っているのは「イオン」伝導度なのでしょうか。

 ええ、これは「イオン伝導率」を測っていることになります。
伝導率測定では直流は使えません。それは電気分解が起こらない限り、つまり分解電圧以上の電圧でないかぎり、電気は流れませんから、電気が流れないのに溶液の電気抵抗を測ることができないので、電圧を高くする必要があります。ところが、電圧を高くすると電気分解が起こるため、いわゆる 分極 が起こります。そうすると、バルクの溶液抵抗以外の抵抗が大きくなってきますので、正しい溶液の電気伝導率(=抵抗率)を測れないことになります。

 水溶液の電気伝導率を測るとき、普通は白金黒を付けた白金電極を両極に使います。そして、1000Hz 程度の交流で測定しますと、極性が交互に変わりますから、白金黒が触媒となって、発生した水素と酸素を接触反応で水に戻すことになります。もちろん、白金黒を付けない白金電極も使われますから必須ではありません。まあ、とりあえずは分極を防ぐためとぼかしておきましょう。電圧は水の分解電圧よりもちろん高くしますが、数ボルト程度です。

 交流の場合、分解電圧以下でも電気は流れます。しかし、これは「交流ならコンデンサに電気が流れる」ことと同じです。あとで説明する予定ですが、2本の電極面に形成される電気二重層コンデンサ(キャパシタ)の充放電が繰り返されるためです。しかし、バルクの溶液中で電荷の移動がありませんから(電気分解は起こっていないから)、溶液抵抗を測れないのは同じです。



(139) (Re:138)
Re8:電解コンデンサを想像してしまいます。
M&M
2003/12/25(木) 18:00

木原 様、こんにちは。ちょっぴり補足です。

> 食塩水なら、かなり希薄でないかぎり、理論分解電圧も「水の電気分解」
>より少し高くなりますので、余計に問題です。

ただし、酸素過電圧と塩素過電圧の違いから、食塩水のほうが実際の分解電圧は低くなるようです。



(140) (Re:138)
Re8:電解コンデンサを想像してしまいます。
木原 伸浩
2003/12/25(木) 18:58

M&M 様

>伝導率測定では直流は使えません。それは電気分解が起こらない限り、つまり分解電圧以上の電圧でないかぎり、電気は流れませんから、電気が流れないのに溶液の電気抵抗を測ることができないので、電圧を高くする必要があります。ところが、電圧を高くすると電気分解が起こるため、いわゆる 分極 が起こります。そうすると、バルクの溶液抵抗以外の抵抗が大きくなってきますので、正しい溶液の電気伝導率(=抵抗率)を測れないことになります。

水溶液に交流を印可すると、コンデンサと抵抗器を直列につないだ回路と等価に働くということですね。えっと、この場合位相の遅れが90度で無くなるんでしたっけ? 位相がどれだけ遅れるかで抵抗値(伝導度)が測れるというわけですか。ふむ。

それで、この場合イオン伝導度を測っているのはいいとして、では、なぜ酸化還元に関係ないイオン(硫酸イオンとかナトリウムイオン)の混入がイオン伝導度を上げるのでしょう? 一見すると、イオン伝導度はイオン濃度に比例するような気がします。しかし、電気伝導=イオンの伝導=電気分解と言う図式が成立するのだとすると、酸化還元に関係ないイオンがいくら混じっていても、イオン伝導度は全く上昇しないことになってしまわないでしょうか? これは私が#118でお聞きした質問の2と同じことだと思いますが。

昔、イオン伝導度はイオン濃度と易動度に比例すると習ったような... あれは何だったんだろう。

漏れ電流が不純物のためだという結論については、#125のM&Mさんの実験において

>・10% 硫酸ナトリウム水溶液(硫酸ナトリウムは特級、一応、超純水を使用)

とあることから承服しがたいのですが、これについては、できれば私も実験してからお返事したいと思います。

 木原 伸浩@純朴さは折り紙付き


(141) (Re:140)
溶液の電気伝導度をどう測る
M&M
2003/12/27(土) 15:28

木原 様、こんにちは。

>水溶液に交流を印可すると、コンデンサと抵抗器を直列につないだ回路と
>等価に働くということですね。えっと、この場合位相の遅れが90度で無く
>なるんでしたっけ? 位相がどれだけ遅れるかで抵抗値(伝導度)が測れ
>るというわけですか。ふむ。

 交流の「印可」でなくて、印加です(^^)。RC回路の位相の遅れで抵抗値を測るのではありません。充電電流のことはそれほど気にすることはないのです。
電気分解が起こる交流電圧を印加して、定常電流が流れていれば、あとは単純に拡張されたオームの法則ですよ。ただし、交流抵抗(インピーダンス)の測定です。

>それで、この場合イオン伝導度を測っているのはいいとして、では、なぜ
>酸化還元に関係ないイオン(硫酸イオンとかナトリウムイオン)の混入が
>イオン伝導度を上げるのでしょう? 一見すると、イオン伝導度はイオン
>濃度に比例するような気がします。

 その通りです。濃厚電解質溶液になると単純な比例関係ではなくなりますが、狭い濃度範囲なら比例します。電気伝導度の測定は電解質溶液のイオン伝導度を測っているのであって、電極での酸化還元が起こることは測定電流が流れるための前提条件です。

>しかし、電気伝導=イオンの伝導=電気分解と言う図式が成立するのだと
>すると、酸化還元に関係ないイオンがいくら混じっていても、イオン伝導
>度は全く上昇しないことになってしまわないでしょうか?

 電極界面の電気二重層で電解反応(電子の授受)が起こることが、電気が流れる必要条件ですが、十分条件ではありません。電解質溶液がないと、電極表面に大きな電位勾配が生まれませんし、電極反応の後始末もできません。

(ここから先はちょっと直流に戻って考えて下さい。)

 硫酸ナトリウム水溶液の電気分解の場合、陽極、陰極ともに反応物質はイオンではなく水分子ですが、電極反応の結果として陽極付近にはH+ イオンが過剰になり陰極付近にはOH- が過剰になります。過剰の電荷を中和する、すなわち電気的中性条件を保つために、電解質イオンが引きつけられるとイオンの濃度勾配ができます(拡散層)。そうすると濃度勾配を駆動力として拡散よって外側のイオンが移動します。HSO4- イオンは陽極に、Na+イオンは陰極に移動しますので、これによって電気(電流)が流れることになるのです。(これは電極近傍のこと)

 電極から離れた溶液沖合では、電界を感じてイオンが移動するのではなく、基本的には対流でイオンの移動がおこります。「溶液沖合」というのは電気化学の用語です。電解液の電気伝導度が大きいときには、溶液沖合では電位勾配がほとんどない、ほぼフラットと考えてもよいのです。したがってイオンは電界を感じて動く(電気泳動する)割合は少ないことになります。

 しかし交流の場合は極性が交互に変わるわけですから、イオンは非常に短い距離を往復しているだけですね。これは導線の中で電子が往復しているのと同じです。動く距離は電線中くらべると極めて短い。それでも電気は流れることになります。

 電気伝導度測定に交流を使う理由は前に述べた1)分極を防ぐ、2)電解液濃度の減少を防ぐ、ことだけでなく、3)電解液(溶液沖合)に電位勾配をつくることによって、電界によるイオンの移動(電気泳動)を起こすことにあります。

>昔、イオン伝導度はイオン濃度と易動度に比例すると習ったような... 
>あれは何だったんだろう。

 それは正しいことです。物質の電気伝導率κは溶液の単位体積に含まれるキャリヤー(電気の運び手=イオン)の数Nと、キャリヤー1個の電気量Qおよび、キャリヤーの移動度(易動度)u の積の総和になります。

   κ=ΣNQu

 Nはイオン濃度そのものですから。(アボガドロ定数でわれば濃度)

長すぎるのでここで切ります。



(142) (Re:141)
Re:溶液の電気伝導度をどう測る
M&M
2003/12/27(土) 15:31

木原 様、こんにちは。つづきです。

>漏れ電流が不純物のためだという結論については、#125のM&Mさんの実験
>において
>>・10% 硫酸ナトリウム水溶液(硫酸ナトリウムは特級、一応、超純水を
>>使用)

>とあることから承服しがたいのですが、これについては、できれば私も実験
>してからお返事したいと思います。

試薬「特級」をあまり信用してはいけません(^^)。超純水だって、大気中で測定すればすぐに空気中の酸素や二酸化炭素という電気化学的には厄介なものを溶解します。それから私は電界コンデンサでいう「漏れ電流」と、ここでいう「微少電流」を区別したつもりです。漏れ電流はコンデンサの絶縁不良によるものであり、ここで流れる微少電流は、不純物の混入のため電解反応がわずかに起こっているための電流です。この微少電流の存在は電気化学の専門書でもそのように説明されていることです。

 承伏しがたいということであれば、是非実験で確かめてみて下さい。また適当な電気化学のテキストも参照して結論を出して下さい。もし実験をやられるなら、ついでに硫酸銅溶液を電解液として、電極には純度のよい銅板を用いて、乾電池1個の電圧、あるいはそれ以下の電圧での電気分解実験をやってみると違いが分かると思います。小中高ではこの実験と、食塩水または硫酸ナトリウム溶液の電気分解の両方をやるべきです。



(132) (Re:126)
Re:電解コンデンサを想像してしまいます。
M&M
2003/12/22(月) 18:12

イルカさん、こんにちは。

 電解コンデンサを想像されますと話はさらにややっこしくなりますね。ですからここは、電解液と電極と電源で考えましょうよ。

 電解液に電流が流れる場合三つの要素があるということでしょう。
(1) 電解質が溶けたため、水の電離が起きて電解質の濃度に比例して
  キャリアが増大する
(2) 電極で酸化還元が行われるだけの電界強度があれば、酸化還元反
  応(電気分解を含む)によって電気が流れつづける。
(3) そうでなければ、両極に対電荷のイオンが集中し、分極により電荷
  の移動は中断される。
(4) しかし、電荷の交換が起きて漏れ電流は流れつづける。
  硫酸酸性になった陽電極で、H+が生成し負電極に移動する。など

 まず (1) ですが、「電解質が溶けたため、水の電離が起きて」などということは根本的に間違っています。(2) はそれでよいのですが、支持電解質の役割が不明確です。(3) は「そうでなければ」の意味があいまいです。分極がおきるから中断するとはかぎりません。分極とはなんでしょうか?

 (4) は「漏れ電流」の定義が必要です。電解コンデンサを前提のお話になっていませんか?



(135) (Re:132)
Re2:電解コンデンサを想像してしまいます。
M&M
2003/12/24(水) 20:32

イルカさん、みなさん、こんにちは。

 イルカさんからのコメントをお待ちしているのですが……。電解コンデンサを例に出されたので、それでは電解コンデンサではどうか。電解コンデンサがどのような構造になっているか、当然電気に詳しいイルカさんはご存じのはずです。私も私なりに模式化して考えてみました。(下図)これはアルミニウム電解コンデンサの場合です。

         直流電源
          |
     ―――――||―――――
     |     |      |
     |           |
     |           |
    \ スイッチ     (電流計)
     |           |
     |           |
    _|___________|_
   ‖ +‖−      +|− |
   ‖ア+‖−  電   +|−ア|
   ‖ +‖−      +|− |
   ‖ル+‖−      +|−ル|
   ‖ +‖−  解   +|− |
   ‖ミ+‖−      +|−ミ|
   ‖ +‖−      +|− |
   ‖箔+‖−  液   +|−箔|
   ‖ +‖−      +|− |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

●陽極と陰極はどちらもアルミ箔ですが、陽極側のアルミ箔は表面を電気化学的方法であらかじめ酸化して、表面に酸化アルミニウムの皮膜を形成してあります( ‖ で示したのが皮膜です)。この皮膜が誘電体(絶縁体)として働きます。

●陰極は被膜をつけていない「アルミ箔+電解液」と考えて下さい。

●電解液は、例えば、ホウ酸アンモニウム溶液とグリセリンからなるペースト状のものなどが用いられます。通常は紙にしみ込ませてあるようです。

 このような構造の電解コンデンサは、酸化皮膜の比誘電率が非常に高いので小型でも大容量のコンデンサになります。容量は1μF〜数万μFくらいで、定格使用電圧は数V〜500V程度の範囲です。

 構造からわかるように、このコンデンサには極性があります。つまり陽極と陰極が決まっています。

 このような電解コンデンサに直流電源をつなぎ、上の図のような回路を構成します。スイッチを開いた状態では図中の+−の電荷はありません。スイッチを閉じると、陽極のアルミ箔の金属部分では、電子が電源のほうへ引きつけられるため、電極上には電子不足になりポジティブ・ホールができ、正に帯電します。一方陰極のアルミ箔は電子が過剰になり負に帯電します。

 電解液と電極の界面では、図に示したように電極近傍のイオンが集まるため、電気二重層が形成されます。このようにして、充電電流が短時間流れて、その後は電気は流れません。

 陽極表面の酸化皮膜が誘電体(絶縁体)であることにもう一度注意を払いましょう。 この絶縁体があるため、電解液の分解電圧以上の電圧がかかっても、電流は通じません。したがって、この皮膜の絶縁破壊が起こらない限り、電解液の電気分解は起こりえません。つまり、電解液中を電気が流れることはない のです。

 漏れ電流が流れるとすれば、それはアルミニウム電解コンデンサにおける酸化皮膜の抵抗の値が十分高くないためです。これがアルミニウムではなくタンタルを使ったタンタル電解コンデンサであれば、タンタルの酸化皮膜は十分に絶縁抵抗が大きいために、漏れ電流が非常に小さくなります。

 イルカさんの(1)〜(4)と対比して、みなさんの議論をお願いします。



(136) (Re:135)
Re7:電解コンデンサを想像してしまいます。
木原 伸浩
2003/12/24(水) 21:13

M&M 様

> 漏れ電流が流れるとすれば、それはアルミニウム電解コンデンサにおける酸化皮膜の抵抗の値が十分高くないためです。

この漏れ電流では何が流れているのでしょう? M&Mさんが実験された電解槽でも同様の(?)漏れ電流がありました。

 木原 伸浩


(137) (Re:136)
Re8:電解コンデンサを想像してしまいます。
M&M
2003/12/25(木) 10:40

木原 様、こんにちは。

>この漏れ電流では何が流れているのでしょう?
>M&Mさんが実験された電解槽でも同様の(?)漏れ電流がありました。

 通常、電解コンデンサーは分解電圧など考慮せずに使用されます(定格使用電圧は数V〜500V程度の範囲)。酸化被膜の抵抗がありますから、電圧が高くても電圧降下はかなりあるでしょうが、分解電圧以上の電圧が印加されることが多いでしょう。そうすれば電気分解は起こり、電気は流れます。しかし、電流値はかなり小さくなるので、この漏れ電流で起こる分解物質の影響はそれほど問題にはなりません。しかし、電解コンデンサに極性があるといいましたが、正負を逆に接続しますと、例えば酸化皮膜側の陰極で酸化アルミニウムが還元されてしまい、絶縁性が無くなりますから大電流が流れ、コンデンサはパンクしてしまいます。

 先に示した実験で水の分解電圧以下でも0.1mA程度の 微少電流 が流れ続けました。これを漏れ電流と呼ぶかどうかは?です。これから述べる予定の、近年注目されている 電気二重層キャパシタ(コンデンサ) の場合もそうですが、水溶液系で1.5V程度の電圧にもかかわらず電流が目立つほど流れるときは、微量の不純物が混入しており、その分解電圧が水より低い場合と考えられています。





Copyright© 2005 FCHEM All rights reserved.